不登校特例校『草潤中学校』ってどんな学校!?
岐阜県PTA連合会教育環境委員会
学校の概要
平成28年度末に閉校した徹明小学校の校舎を利用し、令和3年4月に岐阜市立草潤中学校として開校。中部地方で初となる公立の不登校特例校です。
全ての子どもたちにとって充実した教育機会の確保を目指すため、不登校を経験した生徒のありのままを受け入れ、個に応じたケアや学習環境の中で心身の安定を取り戻しつつ、新たな自分の可能性を見出せるようにするための学校です。
定員は、全校生徒40名。市内全域から通学しています。(市立小学校からの入学、市立中学校からの転校、市外から岐阜市に転居)
学校のコンセプト~学校らしくない学校~
フリースクール、通信制高校や不登校を経験した生徒、適応指導教室等からも意見をいただいて導き出したコンセプトです。
これまでは、生徒が学校に合わせてきましたが、学校らしい仕組みの中で苦しみ、不登校になっている児童生徒が多数いることから、草潤中学校では、学校が一人一人の生徒に合わせることを目指し、「ありのままの君を受け入れる新たな形」というキャッチフレーズを掲げています。
*個別最適化を図る多様な学び
学校に足が向かなかった生徒に、毎日登校することを前提にした学習スタイルだけでなく、家庭での学習を中心としたり、週数回登校を基本としたりするスタイルを例示し、生徒が自ら登校のスタイルを決定できるようにしています。
また、「自分が取り組みたい学びを好きな場所で取り組めるシステム」があり、教室内で授業に参加する子もいれば、オンラインで特別教室から参加する生徒、さらには家庭にいながらオンラインで授業に参加する子もおり、場所に縛られず、同じ学びを共有しています。授業内容が、自分に合っていないと感じたら、デジタル教材を活用した学習を自分で進めることも可能としています。
不登校特例校としての教育課程
通常の中学校では年間1015時間の授業を実施するのに対して、草潤中学校では年間770時間の授業を実施しています。音楽、美術、技術・家庭を1つに合わせたセルフデザインという教科も新設しました。セルフデザインの授業では、音楽、美術、技術・家庭の基礎を学んだ後に、特に興味を持った教科を選択して、集中して学ぶことができるようにしています。家庭で学習して、週に数日登校とすることも可能です。また、校則、制服、校歌、給食、部活動はありません。
学習内容・学習場所・担任は生徒が決める
*学習内容・学習場所
2階廊下の「イマここボード」の自分の名札を自分が学習する場所へ移動させますが、授業時間に教職員が随時巡回し、生徒一人ひとりがどこで、どんな学習、活動をしているのか確認しているので安心です。また、他学年の授業に参加したり、他学年の授業にオンラインで参加したりする生徒もいます。
*担任の決定
入学して、1ヶ月の学校生活を経て、5月に自分の個別担任を決めています。
通常の学校と草潤中学校の違い
卒業生の進路
一般的な中学校と同様、高校受験は可能です。第1期卒業生は15名。全員が自分で決めた高等学校(14校)に進学しました。内4名が全日制高校に、11名は、公立私立の通信制高校へ進学しました。全日制の進学校に十分進学できる程度の学力(実力テストの点数)を身につけたが、自分は、草潤中学校のシステムに近い通信制高校で学ぶことの方が向いていると考えた生徒もいたようです。
不登校で悩む保護者の皆様へ
不登校である児童生徒の時計は、保護者、周りから見ると一見止まっているかのように見えますが、決して止まっているわけではありません。児童生徒の中で本人も気づいていない形で、周りには見えない速度ではあっても時計は動いています。
小中学校時代に不登校であることは、長い人生に決定的なハンディになるわけではありません。必ず時計は目に見える形で動き出します。すぐに結果を求めないで、1人ひとりのありのままを受け入れながら、長い目で見守っていくことが大切だと思います。