子どもの第3の居場所
子ども食堂ってどんな所?
松村麻里
わが子のあゆみ・481号 特集記事 より
1、 和っとひろば@西地区ができるまで
現在高校3年生の息子と中学3年生の娘がいます。
子どもが乳幼児の頃は地域に子育てサロンもあり、毎日のようにあちらこちらの居場所に出掛けていました。また乳幼児サークルも作り、子育てを同時期にしているママ達と支え合いながら、園に入るまでの大変な子育て時代を乗り切りました。
子育てをしながら出来る仕事を・・・と、子どもが2歳と5歳の時に自宅で幼児・小学生対象の学習教室を開きました。息子が小学生に上がると、周りに遊べる環境がないことに気が付きました。幸い、我が家で教室を開いていたので、ここが居場所となっていきました。春休みや夏休みも集える場所がなく、朝から教室を開けて学び、お昼もみんな一緒に食事をし、遊んで帰るという長期休みを10年間過ごしました。
教室に来られる子は居場所があるけれど、地域の子ども達にも居場所は必要だと思い、2018年秋に西地区センターで大垣初の子ども食堂を月に1度スタートさせました。
この当時、月1で土曜日授業があったので、この日の午前中に地域のお母さん達と食事を仕込んで、学校帰りの子ども達を待つことにしました。初回は40名、2回目80人、3回目以降には100名以上の子ども達が訪れる、大切な居場所となっていきました。
突然の学校休校
土曜授業日は「子ども食堂開催日!」と順調に定着していきましたが、突然の学校休校、同時に外出できない状況となり、会場も使えず、子どもも大人も集えなくなりました。
居場所が必要だ!と活動していたのに、更に居場所を失うことに・・・。
幸い、子ども食堂を通して、様々な方達との繫がりがあったので、今、何が出来るだろう・・・と考え、キッチンカーによる食事提供や、外で食材配布を行うなど、コロナ禍の期間には、繋がれるきっかけ作りをしていました。館内での食事提供もしばらく出来なかったので、隣の公園で青空食堂のような居場所を開催していました。
プレーパークも同時開催!
外遊びの大切さも分かっていたのでプレーパークを同時開催し、お腹も心も満たす居場所作りを心掛けていました。
プレーパークとは
「何をしても自由!何もしなくても自由!」
「自分の責任で自由に遊ぶ」
「遊び」という自発的で主体性を持つ行為を保障する場
身体や五感を使って、子ども達が想像力で工夫してつくり出す空間を、プレーリーダーが安全に配慮しながら見守り寄り添います。
火起こしに木工、こまにけん玉、水遊び・・・。ロープ1本置いておけば綱引きが始まったり、大繩が始まったり、ハンモックやブランコ、綱渡りと無限に遊べるのです。
のこぎりやハンマーを使うのも初めて、火をつけるのも初めて、オール電化が進み、中には火を見るのも初めての子もいます。最初の頃は、外遊びを経験した子ども達が少なく、遊び方が分からず、ご飯を食べるとさっさと帰る子が多くいました。今では、終了時刻を過ぎても帰らない子ども達が大勢に。
子ども達の可能性は無限大です。遊びを通して沢山の学びがあります。そして子ども達の笑顔が私たち大人を元気にさせてくれます。今では県内にいくつもの団体が立ち上がり、週末ごとにあちこちでプレーパークが開催されています。
プレーパークのはじまり
プレーパークは、第2次世界大戦後のデンマークで、焼け野原での遊びが生まれことから始まりました。そして、次第にヨーロッパ各地に広がり、日本では、1970年代に「自分の責任で自由に遊ぶ」「けがと弁当は自分持ち」をキーワードに、東京や神奈川で始まりました。「遊ぶ」という、自発的で主体性を持つ行為を保障する場として、今では全国400か所で開催されています。岐阜県内でも年々増えて、現在は10か所以上で、子ども達の「遊び」と「育ち」を見守っています。
2、子ども食堂の目的
また、こども食堂は国内に、公立中学校数と並ぶ9000か所以上にまで増えました。
こども食堂は月1開催のところから、365日提供しているところまで、数人を対象としているところから毎回数百人が集まるところまで実に多様です。
目的もおなかをすかせた子ども達への食事提供から、孤食の解消、滋味豊かな食材による食育、地域交流の場つくりと様々です。
和っとひろばでは、毎回150人前後の人が訪れ、家庭や学校以外の、誰でも立ち寄れる居場所を提供しています。子どもは、誰もが一人では生きられません。みんなで支え合うことが大切です。
3、みんなの居場所
大垣市には児童館がありません。
月に1回の子ども食堂やプレーパークでは足りずに、週に1回の居場所を西公園の管理棟ではじめました。居場所を開催してみると、妊婦さん、乳幼児親子、不登校児童・生徒、地域の方、様々な悩みを抱えた保護者様、先生方等、本当に大勢の方が立ち寄る居場所となってきました。週に1日では足りずに現在は週に2日開催しています。
夏休みや春休みの長期休暇には週に2~3日の居場所を提供しています。地域の方々がボランティアさんとして手を挙げてくださり、支えてくださっています。温かい気持ちが循環する世界が広がっています。
4、居場所を継続するために
毎日でも開催したい居場所。
継続するためには人、建物、お金が必要です。
企業や個人様からご寄付をいただきながら、できる範囲で開催しています。市でも子ども食堂補助金や居場所補助金を作っていただけ、少しずつ私たちの活動に理解を示していただけるようになってきました。
子ども食堂ネットワーク(全国、県、市)、子どもの居場所ネットワーク、県や市の社協やフードバンク、市の各課、企業様、個人様等、本当に多くの方が絡み合って繋がり、助け合って居場所が成り立っています。
感謝でしかありません。
5、和っとひろば@西地区のこれから
こども食堂、そして居場所をはじめて6年が経ちました。
市内の各小学校区に1つの居場所が広がること、また常設の居場所ができることを祈りながら、和っとひろば@西地区の活動を続けていきます。
6、NPO法人つなぐわ(ネットワーク団体)もできました
『NPO法人つなぐわ』は、大垣市を中心とした岐阜県西濃地区の子どもの居場所等の活動を行っている団体をつなげるネットワーク団体です。『NPO法人つなぐわ』は、できて3年目となります。居場所運営に取り組んでいる各団体が協力し合いながら行政や議員懇談をしたり、悩みを共有したり、食材をシェアしたりと、子どもの人権を大切にした活動を続けていきます。
居場所を始めたい方、子ども食堂、学習支援、プレーパーク、こどもの居場所にご興味のある方は是非繋がってください。
皆さんの温かいご支援もお待ちしております
つなぐわの活動
① 子ども居場所等活動・団体と連携
西濃地区で子どもの居場所を運営する団体同士が連携し、情報交換をしながら、子ども達にとって必要な居場所作りをしています。
② 食糧支援
企業や個人からの食糧支援も承っております。子ども食堂での活用、食品ロス削減等を目指し、子育て家庭への食料配布支援も行っています。
③ 行政への働きかけ
より良い地域、子ども達の環境を目指して、行政との交流や懇談も定期的に行っています。
各団体(和っとびひろば等)の主な活動内容
① 子ども食堂
子どもを真ん中に一緒に食事ができる場。子どもも大人も誰でも来られるよ!
② 学習支援
一人一人に寄り添い、家や学校以外でも学べる場。
③ 相談
不登校、教育、子どもの育ち、家族等、ちょっと話せることで気持ちが楽になる。様々な悩みを傾聴します。
④ プレーパーク
遊びを通じて、子ども達の自主性や冒険心を育み、生き生きと成長できる遊び場です。
⑤ みんなの居場所
いつでも誰でも来ても大丈夫。世代を超えて、地域住民のつながる場。
7、利用者の声
□子どもと気軽に立ち寄れて食事だけでなく、食材もいただけ、ありがたい。(保護者)
□毎日やってほしい。(小学生)
□友達と来られる場所があって嬉しい。(小学生)
□放課後、友達と来て、お腹も満たして遊べて、近くに居場所があって良かった。(中学生)
□自分達の地域にも欲しい。(保護者)
□私の居場所にもなって嬉しい。(独居 サポーター)